アミノ酸が肺胞上皮細胞機能に及ぼす影響の研究 ラット肺を摘出して、グルタミン酸が肺胞水分クリアランスに及ぼす影響を研究した。その結果、グルタミン酸は肺胞水分クリアランスを低下させ、肺水腫の改善が遅延させた。昨年度作成したラット肺傷害モデルでの研究と統合すると、腎不全肺傷害ラットでは。血清BUN、クレアチニンは時間経過に伴って上昇し、肺胞水分クリアランスは減少する。これにはアミノ酸代謝異常が関与している可能性が示唆された。しかし、腎不全時には内因性カテコールアミンの放出により、肺胞水分クリアランスは増加し、肺水腫の改善に寄与する。また、β交感神経刺激薬により肺胞水分クリアランスは亢進した。この研究では、腎不全肺傷害ではアミノ酸代謝異常の治療を推進するとともに、β刺激薬投与による肺水腫の治療が重要であることが示唆された。(論文作成中) マグネシウムが肺胞水分クリアランスに及ぼす影響の研究 地震による津波では溺水による死亡が多い。海水にはMgが多く含まれ、溺水では肺胞内Mg濃度が上昇する。ラット肺でMgが肺水腫改善に及ぼす影響を研究した。その結果Mgは肺胞水分クリアランスを変化させない。また、β交感神経刺激薬の肺胞水分クリアランス亢進機能にも影響を及ぼさない。この研究では、海水の溺水に対してβ交換神経刺激薬治療は肺胞内水腫改善に有効であることが示唆された。(研究進行中) ヒト切除肺でのモデル 肺癌浸潤部ではアクアポリン1の細胞膜発現が亢進し、癌細胞の分化、浸潤増殖、転移に水分クリアランスの因子であるアクアポリンが重要な役割を果たしていることが示唆された。(Human Pathol)
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