研究課題
本研究は、肺癌細胞に高発現する細胞表面蛋白であるUOEH-LC-1(Cancer Res.2007 67:8351-7.)に対する抗体療法を確立する目的で、以下に示す計画を進めている。UOEH-LC-1蛋白を組み換えタンパク質として大量に生産・精製し、マウスに免疫することによりUOEH-LC-1蛋白に対するモノクローナル抗体を得る。マウスを用いた治療モデルを作製し、in vivoでの抗腫瘍効果の有無を確かめる。さらにヒト化抗体の作製を検討する。平成20年度は、UOEH-LC-1蛋白を産生、精製し、この蛋白に対するモノクローナル抗体を作製する過程を行っている。まずUOEH-LC-1蛋白を組み換えタンパク質として産生・精製した。次に、2匹のマウスに対してUOEH-LC-1蛋白を繰り返し免疫することにより、1匹は4回、もう1匹は5回免疫後に、マウス血清中に抗体の産生を認めた。これらを犠牲死させ、ミエローマ細胞と融合した。得られたハイブリドーマの限界希釈を施行することで、8株のハイブリドーマクローンを樹立した。最終的に2クローンのIgM抗体を産生する株を得ることができた(15E2,10B2)。これらのIgM抗体はいずれもUOEH-LC-1蛋白を認識することをELISA法にて確認している。さらに現在FACS,免疫染色法により抗体の特異性の評価を行っている。今回のハイブリドーマはいずれもIgM抗体産生株しか樹立できずIgG抗体産生株が得られなかった。原因として、免疫するUOEH-LC-1蛋白量が足りなかったためクラススイッチが起きなかった可能性が考えられた。現在は、UOEH-LC-1蛋白量を増量(1回あたり10μg)してマウスに免疫し、IgG抗体を産生するハイブリドーマの作製を行っている。
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