【コラーゲン結合タンパクを持つう蝕菌による脳出血の悪化の評価】 脳脳出血モデル動物に口腔内細菌を投与した。そして24時間後に麻酔下で生理食塩液による灌流を行い、動物を解剖した。そして厚さ1mmの脳切片を作製し、脳出血面積をコンピュータ解析した。 一般的なう蝕菌およびコラーゲン結合タンパクを有するう蝕菌を投与し、脳梗塞時の脳出血に影響を与える菌を検討した。その結果、コラーゲン結合能を有する口腔細菌が脳出血を増悪するという結果が得られた。 【脳組織中の口腔内細菌を検出】 脳梗塞後の口腔菌の投与により、口腔菌が脳組織から検出することを目的として、走査型電子顕微鏡を用いて検討した。傷害を惹起した中大脳動脈に、コラーゲン結合能を持つ口腔細菌を検出することができた。また、細菌が血管のコラーゲン層に付着していることを可視化できた。 【口腔細菌の表層を透過型電子顕微鏡を用いて比較】 う蝕に関与する一般的な口腔細菌は表層にコラーゲン結合タンパクを有しておらず、スムースな形状をしていた。一方、コラーゲン結合タンパクを有する細菌はグルカン層が綿状であり、明かな形態の相違をみた。 これまでう蝕菌が全身疾患として心内膜炎に関与するという報告がされているが、我々は初めてう蝕菌が脳疾患へ関与するという結果を得た。また、病変部にこの細菌が付着しており、コラーゲン層に付着することで出血傾向を示すことを明らかにした。
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