未破裂脳動脈瘤に対し予防的治療を行うべきか否かを判断するためには、個々の脳動脈瘤の破裂の危険性と治療の危険性を知る必要がある。しかし、実際に個々の脳動脈瘤の破裂の危険性は、脳動脈瘤の大きさ、形状、blebの有無や数、壁の厚さ、壁の脆弱性、血行力学的要素など複数の要素が複雑に関与している。そこで、従来の3次元CT血管造影に時間軸を加味した4次元CT血管造影を開発し、脳動脈瘤が生体内でどのような動きをしているか研究を進めてきた。しかし、現状では撮影に伴うアーチファクトが存在するなど改良の余地がある。本研究では、これらの問題を解決し、生体内での脳動脈瘤の壁運動を動画として捉え、脳動脈瘤の破裂リスクの評価法を開発する。今年度は、東芝64列multi slice CTで得られたヒト脳動脈瘤のDICOMデータを用いて、3D-CTAの作成にINTAGE Volume editor(株式会社Reealia)を用いて成功し、Magics(株式会社Materialis)およびICEM CFD(株式会社ANSYS)を用いて動脈モデルのflow解析を行い条件の設定を確立した。また、従来の4D-CTAで指摘されていた、静止物のmotionを解消するべく開発された撮像方法DFA(Dynamic Four-dimensional CT angiography)を用いて、従来の欠点を解消できたことを、シリコンを用いた拍動モデルで確認した。現在、DFAを用いて得られた12phaseの拍動モデルのCFDを行うと同時に、ヒト脳動脈瘤のDFAデータを収集中である。
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