研究課題
未破裂脳動脈瘤に対し予防的治療を行うべきか否かを判断するためには、個々の脳動脈瘤の破裂の危険性と治療の危険性を知る必要がある。しかし、実際に個々の脳動脈瘤の破裂の危険性は、脳動脈瘤の大きさ、形状、blebの有無や数、壁の厚さ、壁の脆弱性、血行力学的要素など複数の要素が複雑に関与している。そこで、従来の3次元CT血管造影に時間軸を加味した4次元CT血管造影を開発し、脳動脈瘤が生体内でどのような動きをしているか研究を進めてきた。しかし、現状では撮影に伴うアーチファクトが存在するなど改良の余地がある。本研究では、これらの問題を解決し、生体内での脳動脈瘤の壁運動を動画として捉え、脳動脈瘤の破裂リスクの評価法を開発する。これまでの研究で、新しい4D-CTA(Dynamic Four-dimensional CT Angiography,DFA)を開発したが、今年度は、基礎研究に加え臨床例における検討を開始した。その結果、静止モデルを用いた実験では、心電図同期4D-CTAと比較するとアーチファクトはほぼ消失した。脳動脈瘤拍動モデルによる基礎実験では、1mm前後の拍動が評価可能となった。臨床応用においては、血管の収縮拡張に伴う体積変化や血管の位置が前後に移動していることが証明された。破裂脳動脈瘤では、親血管と比較すると1心拍内の体積変化率が大きかった。以上より、DFAは高い時間分解能と空間分解能を有した撮影方法で、血管の体積変化と位置移動という2種類の拍動を可視化できることが明らかになった。さらに脳動脈瘤の心拍による構造変化を解析することにより増大や破裂のメカニズムに関する新たな情報を獲得できる可能性が示唆された。
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Stroke
巻: 42 ページ: 815-818