研究概要 |
頭部外傷受傷後5年以内の症例を限定し3.0tesla MRI, WAIS-III、 WMS-R、 p-300測定を実施した。全例、高次脳機能障害診断基準に該当する症例であった。神経心理学的検査では多様な異常所見を検出し得た。高次脳機能障害症例では、言語機能、知覚・動作機能、記憶の全てが障害された症例はみられなかったものの、全例でいずれかの障害が見られた。高次脳機能障害例における神経心理学的検査の特徴ではないかと考える。MRI上では明らかなびまん性軸索損傷病変を検出し得た。帯状束Tractgraphyは全例において描出できた。これを基に帯状束FA値を計測した。帯状束FA値は症例間の変動の幅が小さく帯状束FA値の平均値には症例間の有意な差は認められなかった。 また、併せてDiffusion Tensor Imagingの神経組織評価の有用性を検討する目的で、血管圧迫による三叉神経痛症例に対しDTIを施行した。三叉神経痛症例では病側三叉神経において、FA値が上昇または低下する症例が認められ、このFA値の変化は血管圧迫による神経線維の解剖学的走行変化とさらに、圧迫による神経線維変性に関与すると考察した。FA値は三叉神経痛における神経の病理学的変化を反映する可能性が示唆された。これらの所見よりDTIによるFA値の測定は脳内および神経内の神経線維の解剖学的変化および病理学的変化を検出しうることが示唆された。
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