研究課題
本年度は、新規ポルフィリンの合成が立ち遅れたため、主にホウ素ペプチドおよび膜融合粒子を作成し、細胞実験と一部動物実験を行った。1.以前より検討しているポルフィリン化合物をHVJ-Eに封入すること、これらが細胞にホウ素送達が可能で、単独の溶液投与よりも送達効率が高いことは先行実験で確認できている。ただし治療に必要なホウ素濃度には到達していないため、ホウ素クラスターを有するポルフィリン化合物の合成が安定した段階で再度検討する予定である。2.膜融合粒子による細胞へのホウ素送達が可能であることを培養細胞中のホウ素濃度を測定することによって示した。したがって当初予定のとおり、今後センダイウイルスの膜融合蛋白の利用、Liposomeへの封入薬剤の検討を行ってゆく予定である。3.動物実験においては、一部膜融合粒子の試験的静脈投与を試みたが、耐用量が小さく、ホウ素濃度から算出した投与量ではモデル動物が死亡してしまうため、機能性を評価するにいたらなかった。さらに、その毒性検討や、脂質組成の最適化を行う予定である。4.いずれのシステムにおいても、ホウ素濃度の必要量と安全性とのバランスが必要であり、製剤として応用を考えてゆくためには、少なくともドラッグデリバリーシステム単体での大量投与での安全性の確認が必要であることが示唆された。また、有効ホウ素濃度へ到達するためには、さらに病変選択性の導入を今後検討する必要がある。
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