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2010 年度 実績報告書

悪性神経膠腫の分子標的治療に対する耐性獲得メカニズムの解明と新たな治療戦略の構築

研究課題

研究課題/領域番号 20591706
研究機関東京大学

研究代表者

武笠 晃丈  東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (90463869)

研究分担者 田中 実  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50332581)
キーワード悪性神経膠腫 / 上皮性増殖因子受容体 / 分子標的治療 / 薬剤耐性 / 腫瘍幹細胞
研究概要

本研究は、これまでに同定してきた多形膠芽腫に対する治療抵抗性関連遺伝子群から、腫瘍の治療耐性と増殖の鍵となっている分子を特定することを目的としている。まず、これらの遺伝子の発現をヒト悪性神経膠腫において確認する前段階として、従来から行ってきた遺伝子解析による神経膠腫の類型分類を、当該年度においても引き続き施行した。臨床検体においては、IDH遺伝子、p53遺伝子の変異、染色体1p19qのLOH(ヘテロ接合性の喪失)の同定などをするとともに、MGMT遺伝子プロモーターのメチル化をMethylation-specific PCR (MSP)法により同定し、それぞれの異常と予後との関連を検討した。染色体LOHに関しては、患者血液が不在のものに関しては、MLPA法による同定を行った。対象は昨年度よりさらに100例以上追加し、膠芽腫(GBM)144例、退形成星細胞腫(AA)41例、びまん性星細胞腫(DA)53例、乏突起膠細胞系腫瘍69例、毛様細胞性星細胞腫(PA)7例の合計314例の神経膠腫であった。IDH遺伝子変異の頻度はGBM17例(12%)、AA11例(27%)、DA23例(43%)、乏突起膠細胞系腫瘍50例(72%)、PAO例(0%)と合計101例で認めた。このうち、IDH2遺伝子の変異は5例(2%)のみであった。WHO Grade 2と3の神経膠腫においてはMGMT遺伝子プロモーターメチル化とIDH遺伝子変異に相関が見られた。予後との関連を調べると、特にGrade3の退形成星細胞腫で1p19qLOHを認めない群にて、IDH遺伝子変異と無増悪再発期間が有意に相関していた。これら臨床検体と、その遺伝子変異と予後との関連などの臨床データは、今後、耐性関連候補遺伝子の発現量を調べる事で、これら遺伝子の機能解析をする上での非常に有効な基礎データを提供すると考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Escape from targeted inhibition : the dark side of kinase inhibitor therapy.2010

    • 著者名/発表者名
      Wykosky J, Mukasa A, Furnari F, Cavenee WK
    • 雑誌名

      Cell Cycle

      巻: 9巻 ページ: 1661-1662

  • [雑誌論文] Tumor Heterogeneity is an Active Process Maintained by a Mutant EGFR-induced Cytokine Circuit in Glioblastoma.2010

    • 著者名/発表者名
      Inda MM, Bonavia R, Mukasa A, Narita Y, Sah DW, Vandenberg S, Brennan C, Johns TG, Bachoo R, Hadwiger P, Tan P, Depinho RA, Cavenee W, Furnari F
    • 雑誌名

      Genes & Development

      巻: 24巻 ページ: 1731-1745

    • 査読あり
  • [学会発表] 悪性神経膠腫における変異型EGF受容体に対する分子標的療法とその治療耐性獲得機構2010

    • 著者名/発表者名
      武笠晃丈, 他
    • 学会等名
      第28回日本脳腫瘍学会
    • 発表場所
      軽井沢プリンスホテルウエスト(長野県)
    • 年月日
      2010-11-29
  • [学会発表] 悪性グリオーマにおけるIDH遺伝子変異と染色体1p19qLOHおよびp53変異の関連とその意義(シンポジウム)2010

    • 著者名/発表者名
      武笠晃丈, 他
    • 学会等名
      第68回日本脳神経外科学会総会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県)
    • 年月日
      2010-10-27
  • [学会発表] Mutant EGFR Signaling is Required for Maintenance of Enhanced In Vivo Glioblastoma Growth and Its Ablation Leads to Escape by Emergence of Receptor-Independent Mechanisms2010

    • 著者名/発表者名
      Akitake Mukasa, et al
    • 学会等名
      The 18th International Conference on Brain Tumor Research & Therapy
    • 発表場所
      Travemunde(Germany)
    • 年月日
      2010-05-18

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公開日: 2012-07-19  

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