研究概要 |
Wnt1-16の発現を293T(腎尿細管上皮由来),AM-1(歯原性腫瘍由来),sw480(大腸癌由来)とグリオーマ由来のU251, U105, G24Mで定量PCRで比較したところ,Wnt5aは全ての細胞で発現が多く,グリオーマでは他にG24MでWnt2が高かった.また,グリオーマ由来の細胞4種類でMMP2とMMP9を測定したところグリオーマではMMP9の発現は少なく,MMP2の発現が高かった. 一方で低分子標的薬であるバンデタニブ,ソラフェニブ,エルロチニブ,スニチニブ,ゲフィチニブをU251に24時間作用させた場合,Wnt5aの発現は全体的にコントロールに比較し低下した.特にバンデタニブ,ソラフェニブでその低下が大きかった.G24Mにバンデタニブ,ソラフェニブを作用させた場合,Wnt5a, Wnt5b, Wnt9a, Wnt10a, Wnt10bの発現は共に低下したが,Wnt3aでは発現がコントロールと変わらず,Wnt11ではコントロールより上昇していた.これらの低分子標的薬は,細胞の運動を低下させる作用が強い薬剤であることが同時に観察されている.Frizzled(Fz)の発現はU251, U105でFz6が高く,G5Mでは,Fz2, Fz6が高く,G24MではFz1, Fz2, Fz7が上昇していた. このように,グリオーマにおけるWntファミリーには発現の偏りがあるが,主要なWntの低下と細胞活動性の低下はリンクしていることが確認された.
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