研究概要 |
本計画は、脊髄損傷の急性期に対する、骨髄幹細胞の静脈内投与による治療効果を検証することを主目的とするものである。 本年度は、脊髄損傷モデルとして、NYUインパクターを用いて、胸髄(Th10レベル)に直接損傷を加えるモデルを確立した。与えるインパクトにより、脊髄の損傷の重症度が変わるため、本年度は、まず、損傷程度と機能における相関関係に関する基礎データを収集した。また、行動学的解析と組織学的解析を加え、細胞移植治療の対照群としてのデータを蓄積した。 また、脊髄損傷モデルラットに対して、脊髄損傷の急性期に大腿静脈より1,000,000個の骨髄幹細胞を投与すると、機能の回復が得られることについて、特に、移植細胞数や、投与時期を様々な条件を変えて検討を行っているところである。 一方、脊髄損傷に対する細胞療法は、脊髄損傷の局所における神経再生や髄鞘形成を解析するのみでは不十分で、大脳皮質の存在する運動神経細胞との総合解析が重要である。そこで細胞治療による局所の再生と大脳皮質運動ニューロンの損傷への影響を解析する準備も開始した。すなわち、損傷を起こした脊髄局所の組織学的解析と同時に、相応する大脳皮質運動野の変化を組織学的に解析し、細胞治療による効果を比較解析するというものである。 また、脊髄損傷の局所における神経利用因子(例えば、DNF,BDNF,NGF,EGF,bFGF等)の発現、および、細胞治療による変化の解析も着手した。 以上のように、補助金は補助条件に従って、非常に有効に使用されている。
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