研究課題/領域番号 |
20591726
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
吉田 大蔵 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30210701)
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研究分担者 |
寺本 明 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50133070)
金 景成 日本医科大学, 医学部, 助教 (30339387)
太組 一朗 日本医科大学, 医学部, 講師 (60307923)
山口 文雄 日本医科大学, 医学部, 講師 (70267219)
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キーワード | インターフェロン誘導性膜貫通蛋白質 / SDF-1 / 下垂体腺腫 / 細胞内シグナル / cDNA microarray / 細胞浸潤 |
研究概要 |
平成23年度はSDF-1の制御する細胞内シグナルの中で前年度に発見したものをさらに研究した。 【目的】インターフェロン誘導性膜貫通蛋白質1(IFITM1)はインターフェロンγ誘導性抗増殖作用の必須メディエーターであるが、近年口腔ガン領域において腫瘍増殖と浸潤の促進作用を有することが報告された。今回我々は下垂体腺腫における発現分布とその分子制御機構の解明を目的とし、報告する。 【方法】下垂体腺腫60例(GH-oma;23,NF-oma;22,PRL-oma;6,ACTH-oma;5,TSH-oma;4)のtissuemicroarrayでIFITM1の発現をβ-actinをpositive controlとして蛍光免疫染色を行い、腺腫のサブタイプ間の発現有意差を検討した。さらに年齢、性、サイズ、Knosp gradingとの相関を検討した。次に下垂体腺腫細胞At-T 20をsiRNA法でknockdownした後、MTT assay,zymogram、cell invasion assayを検討し、さらにcDNA microarray法で細胞増殖、細胞浸潤に関連するmRNAの発現変化を解析した。 【結果】IFITM1の蛋白レベルでの発現は腺腫のサブタイプ間では有意差は見られなかった。非機能性腺腫の中ではサイズとKnosp gradingに有意差が見られ、大きいか浸潤性の高い症例ほどIFITM1の発現は有意に上昇していた。IFITM1をknockdownしたAt-T20細胞は細胞増殖、MMP-2,9の発現と細胞浸潤は抑制されていた。cDNA microarray法ではこれらに関連したmRNAが発現低下しており、IFITM1はこれらのシグナルの上流に位置している事が明らかになった。 <結論>IFITM1は下垂体腺腫における腫瘍増殖、浸潤の促進因子の上流にあるシグナルであり、その発現抑制により下垂体腺腫の治療効果が期待できると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
SDF-1は従来下垂体や脳神経では研究されてない分野であったが今回の研究で下垂体腺腫の浸潤や成長に大きな役割を果たす事が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
SDF-1は分子標的治療の標的となる可能性が高くこれからも臨床に視野をすえたtranslational researchを目的とした研究を進めていきたい。
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