研究概要 |
^<18>Fフルオロアミノ酸(^<18>F-DOPA)PETとMRスペクトロスコピー(MRS)による分子イメージングを用い、神経膠腫の代謝情報を検討し,特に^<18>F-DOPA PETの脳腫瘍診断(悪性度、非腫瘍との鑑別)における有用性を検証した.対象は、神経膠腫33症例(グレード1;5例,グレード2;8例,グレード3;11例,グレード4;7例)、その他の腫瘍11症例(脳転移4例,悪性リンパ腫3例など)、非腫瘍性病変18症例(肉芽腫性血管炎2例,多発性硬化症3例,脳症4例など)の、計62例であった。 神経膠腫では、MRSの示す細胞膜増殖性亢進/神経細胞の減少(Cho/NAA比)と,^<18>F-DOPA PETの集積度の間に相関が示された.また、^<18>F-DOPA PETの集積度は良性-悪性腫瘍間で有意に異なっていた。^<18>F-DOPA PETの集積度は、腫瘍の代謝変化と,進展範囲や悪性度の診断に関する有用な情報を提供すると考えられた.非腫瘍性疾患では、^<18>F-DOPA PETの異常集積度と健常脳とのコントラストは明瞭であった。しかし、集積度は神経膠腫のグレード2と同程度であった。 これまでの結果から、^<18>F-DOPA PET検査の頭蓋内占拠性病変の診断における特性は、1)腫瘍における代謝変化が集積度に反映されやすく、腫瘍悪性度の評価において有用である。2)腫瘍のみならず、非腫瘍性疾患にも異常集積し、非腫瘍性疾患の広がりや活動性の診断に有用である、が、3)非腫瘍性病変でも良性腫瘍と同程度の集積があり、両者の鑑別が困難である、ことが示された。腫瘍悪性度との関連、非腫瘍性病変への応用は、^<18>F-DOPA PETの特色であり、このような特性を生かすことによって、独特な臨床応用の可能性が示唆された。
|