研究概要 |
^<18>F-DOPA PETとMRスペクトロスコピー(MRS)による分子イメージングを用い、神経膠腫の代謝情報を検討し,特に^<18>F-DOPA PETの脳腫瘍診断(悪性度、非腫瘍との鑑別)における有用性を検証した。対象は、神経膠腫37症例(グレード1;5例,グレード2;8例,グレード3;13例,グレード4;11例)、その他の腫瘍15症例(脳転移5例,悪性リンパ腫4例など)、非腫瘍性病変31症例(肉芽腫性血管炎2例,多発性硬化症4例,脳血管障害4例など)の、計82例であった。 PET集積度のTime activity curveから、病変部、健常部の集積時系列およびピークの検討を行った。ピークにおける集積度の健常部(大脳皮質N、線条体S)と病変部(T)の比率(T/N比・T/S比)平均値は、神経膠腫グレード1(G1)で(1.28・0.93)、G2(1.58・1.09)、G3(2.56・1.76)、G4(2.54・1.63)、悪性リンパ腫(2.28・1.63)、脳梗塞(1.2・0.8)、脳出血(1.4・0.94)、多発性硬化症(1.39・0.95)などであった。悪性腫瘍ほど集積度が高く、悪性・良性のCut off値としてはT/N比で2.0が有用と考えられた。病変部ではピーク時間と集積度との間に負の相関が認められ、集積の早さも悪性度と関連していた。神経膠腫では、PETの集積度はMRSの示す細胞膜増殖性亢進/神経細胞の減少(Cho/NAA比)と相関していた。以上の結果から、^<18>F-DOPA PETの集積度は腫瘍化および悪性度を良好に反映することが示唆された。撮影方法については、脳腫瘍の鑑別において、集積ピークの解析が有意義であるためダイナミック収集が望ましいが、注入後30分以降の集積度は有益性が低く、撮像時間を30分程度へ短縮し、患者負担を軽減することが可能と考えられた。
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