研究概要 |
本申請では当研究組織が平成8年度より開発, 改良を行ってきた人工椎間板研究の最終段階としての頚椎・腰椎人工椎間板の臨床応用を行い、その有効性と安全性を確認する。さらにこれを踏まえた第2毅階として、近年の組織再生技術と高強度生体内吸収性材料を応用した新規ハイブリッド型再生椎間板の基礎開発を目的としている。平成20年度は人工椎間板臨床応用のデザインと検討項目につき、以下のように決定し、治験関連施設との調整を行った。移植形式を頚椎前方置換とし、症例数と治験エントリー期間はそれぞれ30例、1年を予定した。本治験項目による各患者の経過観察は術後2年まで行うこととした。これにはX線学的計測、臨床的スコアリング、合併症の収集を含む。Inclusion criteriaとして, 年齢30-75歳, 保存治療に1ヶ月以上抵抗性の頑固な腰痛または頚部痛で, かつ上下肢痛を持つ患者とする. 頚椎前方置換の適応は, 1)脊髄または神経根障害を呈する頚椎症、頚椎椎間板ヘルニア(1椎間病変)で, 脊髄症については日本整形外科学会頚髄症判定基準(JOA score)13点以下とする. 神経根障害については1ヶ月以上の保存治療(薬物、牽引を含む理学療法)が無効な例とする, 2)前方または後方固定後の隣接椎間変性(脊髄または神経根障害を呈するもの)で,X線像におけるすべりやアライメント異常が小さく、椎間不安定性が大きくないものとする. 新規ハイブリッド型再生椎間板の基礎開発においては、細胞移植の足場として生体内吸収性材料を特殊繊維化し、これを三次元立体織物形状に採型する。本年度はこの候補となる材料について、その強度および生体内吸収性を検討した。
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