我々はRunx3欠損マウスの骨・軟骨組織を予備的に解析し、Runx3欠損マウスの体長の短縮を見出した。この知見に基づき、本研究では、Runx3欠損マウスの解析を通じて、 Runx3の骨代謝における作用を分子生物学的に明らかにしようとした。また、靭帯骨化症モデルマウスとRunx3欠損マウスおよびRunx2欠損マウスに交配により得た2重、3重変異マウスを組織学的、分子生物学的に解析し、靭帯骨化症におけるRunx3の病態生理的意義を解明しようとした。既報ではRunx3欠損マウスには明らかな異常がないとされているが、我々の検討ではRunx3欠損マウスは出生直後より野生型マウスに比べて約30%体長が短く、成長とともにその程度が増悪した。また、Dexa法による骨密度測定ではRunx3欠損マウスは骨密度が低下する傾向にあった。組織学的に検討するため、4、12週齢のマウスの骨を樹脂包埋し非脱灰切片を作成し、骨形態計測を行った。その結果、Runx3欠損マウスでは骨量の低下とともに、骨形成率の著明な低下が認められ、Runx3が骨形成に関わることが初めて明らかとなった。また、現在、靭帯骨化症におけるRunx3の意義を解明すべく、ttwマウスとRunx3欠損マウスを交配し二重遺伝子変異マウス(Runx3-/-/ttwマウス)を作成している。靭帯の肥厚、石灰化が認められる8週齢、12週齢において石灰化部位をμCTを用いて三次元的に再構築し、定量する予定である。
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