研究概要 |
すでに我々は、Runx3欠損マウスの骨・軟骨組織を解析し、Runx3欠損マウスでは長管骨の長さの短縮、著明な骨形成率の低下を見出している。本年度はこの知見に基づき、Runx3の骨代謝における作用を分子生物学的に明らかにしようとした。Runx3欠損マウスから得た骨芽細胞を培養したところ、その増殖は極めて遅かった。一方、骨芽細胞の分化には大きな異常は認められなかった。そこで、骨芽細胞分化、増殖のマーカーの発現を検討している。Runx2は骨芽細胞分化のマスター因子として、Runx1は間葉系細胞から軟骨へのカギ分子としてよく知られているため、Runx1/Runx2/Runx3欠損ヘテロマウスを作製したが、大きな骨格系の異常は認められなかった。そのため、現在、Runx1/Runx2/Runx3三重欠損ホモマウスを作成し、骨格系の形成におけるRunx1,2,3の協調的な作用について検討を進めている。また、現在、靭帯骨化症におけるRunx3の意義を解明すべく、ttwマウスとRunx3欠損マウスを交配し二重遺伝子変異マウス(Runx3-/-/ttwマウス)を作成している。今後、靭帯の肥厚、石灰化が認められる8週齢、12週齢において石灰化部位をμCTを用いて三次元的に再構築し、定量する予定である。以上のように、実験は当初計画通り、順調に進行している。
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