研究概要 |
1) TNF-αファミリーであるTWEAKは椎間板細胞に作用しc-Jun N-terminal kinaseを介してMMP-3を誘導し、椎間板変性を誘引していた。また、TWEAKはNF-kappaB経路を介してマクロファージ走化性サイトカインであるMCP-1を誘導した。(Spine 33, 23:2489-2494, 2008) 2) これまで気管支喘息などの好酸球の粘膜内浸潤に関与すると報告されていたThymic Stromal Lynphopoietin (TSLP)が椎間板細胞に発現し、炎症性サイトカインTNF-αなどの刺激で発現が促進し、TSLPはautocrineでマクロファージ遊走サイトカインであるMCP-1をNF-kappaB経路を介して誘導することを明らかにした。TSLPとその受容体はヒトの椎間板ヘルニア手術検体での発現も確認された。よって、TSLPが椎間板ヘルニアの自然退縮機序に関与していることが強く示唆された。(Arthritis & Rheumatism 58, 11:3510-3519, 2008) 3) 椎間板ヘルニアの自然退縮には新生血管の増生とマクロファージの浸潤がみられる。これまでの現象に血管新生因子であるVEGFが作用していることを明らかにした。今回この経路について詳細に調査を行うと、TNF-αはTNFレセプターIを介し、NF-kappaB経路でVEGFを椎間板細胞から誘導していた。また、血管増生能は経年的に減少するため、退縮は加齢によって阻害される可能性が示唆された。
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