研究概要 |
椎間板の変性過程と酸化ストレスとの関連を解明するため,椎間板変性モデルを用いた検討の前段階として,生後3か月と生後12か月のBachlノックアウトマウス,Wild typeマウスに対し,以下の如く検討を行った. 1.椎間板のレントゲン画像の検討 生後3か月,12か月のBachlノックアウトマウス,Wild typeマウスの腰椎のマイクロ単純X線写真を撮影し,椎間板高の経年変化を計測し統計学的に解析を行い,Bachlノックアウトマウスにおいて椎間板高の変化が有意に小さいことを確認した. 2.組織学的変化の検討 生後3か月,12か月のBachlノックアウトマウス,Wild typeマウスを麻酔下に4%パラホルムアルデヒドで灌流固定し,腰椎椎間板を採取,パラフィン固定した組織標本を作製した.この組織標本に対しH/E染色,Safranin-O染色を行い,椎間板変性の程度をスコアリングすることで,椎間板の経年変化を組織学的に検討し,Bachlノックアウトマウスにおいて椎間板変性の程度が有意に少ないことを確認した. 本年度の研究結果から,レントゲン画像による椎間板高および,組織学的変化において,両群間に有意な差を認め,Bachlノックアウトマウスでは椎間板の経年的変化が抑制されることが確認できた。来年度はこの結果を基に,HO-1と椎間板変性の関連性を解明する目的に,抗HO-1抗体,抗AGEs抗体を用いた組織学的検討,およびquantitative real-time PCRを用いたHO-1 mRNA, AGEs m RNAの定量を行う計画である.また,研究計画にある椎間板に損傷を加えたモデルにおける,椎間板変性の抑制とHO-1との関連性についても同様に,レントゲン画像の検討,組織学的変化の検討,quantitative real-time PCRを用いた検討を行う.
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