研究概要 |
昨年度は強制安静時にビデオ作成システムで作成した動画画像を見ながらイメージトレーニングを行った場合に強制安静前後の脊髄前角細胞の興奮性や脳活動に及ぼす影響について検討した(実験2、健常人ボランティア7人)。F波は安静前と3時間安静後に記録し、3時間安静後は3T MRI装置でfMRIを記録した。3時間強制安静中には、被験者にAPBを収縮させて記録した動画を見せながらAPBを収縮させるようにイメージさせた(実際にはAPBは収縮させない)。また、コントロール実験として3時間安静中にイメージトレーニングを行わなかった時のF波およびfMRIについても検討した。 F波の出現率(%)と振幅(μV)の経時的変化は、コントロール実験では、安静前(49.0%,301.3μV)→安静3時間後(32.3%,225.9μV)であり安静後に出現率、振幅ともに有意に低下した(p=0.005)。一方、実験2では、安静前(41.0%,309.9μV)→安静3時間後(43.6%,228.2μV)であり安静後に振幅は有意に低下したが出現率は有意な変化を示さなかった。fMRIを解析するとコントロール実験では両側視床部(右優位)、右側頭葉、右小脳で活動を認め、実験2では両側視床部、両側側頭葉、両側島、両側海馬、両側尾状核(いずれも右優位)に活動性を認めた。動画を用いたイメージトレーニングを行った実験2ではコントロール実験に比較してより広い範囲で活動性を示しており、安静による大脳活動領域の抑制を減ずる効果があると考えられたが、一次運動野、運動前野、補足運動野は賦活されていなかった。 イメージトレーニングによる脊髄前角細胞の興奮性維持効果は随意運動とは異なる系が働いていることを示唆すると考えられる。
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