研究課題/領域番号 |
20591751
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (50332698)
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研究分担者 |
筑紫 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (90378109)
和佐 潤志 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80547539)
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キーワード | 糖鎖 / 乳癌 / 骨転移 / ヒアルロン酸 / 保存的治療 |
研究概要 |
1.ヒト乳癌細胞株(MDA-MB-231)に対するヒアルロン酸制御による抗腫瘍効果、骨転移制御に関する研究:昨年に引き続きin vitro、in vivoの実験を実施した。 in vitro:ヒアルロン酸合成を阻害する4-MU(4-methylumbelliferone)によりアポトーシス(TUNEL法)を誘導、フローサイトメトリーにより細胞周期停止が生じ、 ウエスタンブロットによりAktのリン酸化が阻害されることが明らかとなった。ヒアルロン酸オリゴ糖によるヒアルロン酸蓄積制御実験においても同様の効果があることが確認された。 in vivo:ヌードマウスの脛骨内にヒト乳癌細胞(MDA-MB-231)を移植し、作成した骨融解性の骨転移モデルに対して、4-MU腹腔内投与群は対照群と比較して有意に骨融解病変進行を抑制した(NIHイメージ)。4-MU投与群においては骨転移巣において、腫瘍だけではなく宿主側間質におけるヒアルロン酸蓄積(ヒアルロン酸結合タンパクによる染色)も有意に抑制されていた。ヒアルロン酸オリゴ糖の局所投与についても同様にオリゴ糖群が対照群と比較して有意に骨融解性病変進行を抑制した。 2.マウス肺癌細胞(Lewis)に対するヒアルロン酸制御による抗腫瘍効果、骨転移制御に関する研究 C57BL6Jマウスに移植可能である肺癌細胞株(Lewis)を脛骨内に移植し、マウス骨転移モデルを作製することに成功した。骨転移巣形成を軟X線で確認した後に、4-MU投与を腹腔内に2週間投与した。4-MU投与群は対照群と比較して有意に骨転移巣進行を抑制した。 以上の結果に基いて、今後は骨転移治療薬として認可されているゾレドロン酸(ビスフォスフォネート製剤)との比較実験を進める予定である。
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