【目的】Wntシグナルが細胞の増殖や分化、細胞運動や細胞極性など、多彩な細胞機能に関与しており、種々の器官形成に必須であることは様々報告されている。Wntシグナル経路にはβカテニンを介する経路と介さない経路があり、近年、β-カテニン非依存性経路を活性化するWntシグナルも注目されており、Wnt5aは代表的なリガンドである。またWnt5aは軟骨形成に関与していると様々な報告がされている。そこで我々は、Wnt5a蛋白質に着目し、Wnt5aを添加した三次元培養系を用い、骨髄間葉系幹細胞を軟骨分化させることで、Wnt5aが軟骨分化に与える影響を検討した。 【方法】三次元培養ゲルにてヒト骨髄間葉系幹細胞(MSC)に軟骨分化誘導を行い、3週間培養し、Wnt5aを添加しなかった群(Control Group)、Wnt5a(0.03μg/μl)を0.5μl添加した群(Group L)、Wnt5aを1.0μl添加した群(group H)を作製した。Safranin O染色を行い、組織学的に比較検討を行った。また、Real time PCR法にてCol2a1、Aggrecanの発現を解析した。 【結果】組織学的検討ではWnt5aを添加した群ではWnt5aを添加しなかった群と比較して軟骨形成が良好であった。Real time PCR法におけるCol2a1、Aggrecanの発現はWnt5aを添加した群は、添加しなかった群と比較して約2.0倍の有意な差を認めたが、wnt5aの添加量での比較においては有意な差は認めなかった。 【結論】Wnt5aはMSCの軟骨分化を促進することが三次元培養系において確認された。
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