LIPUSの骨折治癒促進効果と末梢血由来骨前駆細胞の関与について検討した。末梢血中の細胞をトラッキングするため、GFPマウスと野生株マウスを外科的に結合し、末梢循環を共有するparabiosisを作製した。末梢血においてGFP陽性細胞のキメラを形成後、野生株マウスの大腿骨を骨幹部で骨切りし、骨折モデルとした。LIPUS照射を1日20分間連日行い、非照射の場合と比較した。骨折後4週のX線評価では、骨癒合率はLIPUS照射群が100%であったのに対し、非照射群では20%であった。組織学的評価では、骨折部における末梢血由来GFP陽性細胞は、LIPUS照射群の2週で7.6%、4週で7.4%、非照射群の2週で2.4%、4週で6.3%であり、LIPUS照射群の2週において有意に多くみられた。アルカリフォスファターゼ活性陽性率は、LIPUS照射群の2週で77.9%、4週で36.4%、非照射群の2週で9.2%、4週で25.8%であり、LIPUS照射群において有意に高かった。このことより、LIPUS照射により末梢血由来骨前駆細胞のホーミングが促進されることが確認された。また、LIPUS照射群の骨折部仮骨内において、免疫組織化学的にケモカインstromal cell-derived factor 1 (SDF-1)の発現がみられた。その受容体であるCXCR4の発現もみられ、さらに、末梢血由来GFP陽性細胞での発現が確認された。LIPUSによる末梢血由来骨前駆細胞ホーミングのメカニズムとしてSDF-1/CXCR4システムが関与している可能性が示唆された。
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