研究概要 |
1. 軟部肉腫に対する第3世代ビスホスフォネートと化学療法の併用効果に関する検討(in vitro) これまでに骨肉腫同様に軟部肉腫細胞株(HT1080)に対してビスホスフォネートによる直接的抗腫瘍効果を示してきた。今回ビスホスフォネートと各種抗癌剤を用いた併用療法によりHT1080に対する相乗効果がえられるかを検討した。各種抗腫瘍薬剤(paclitaxel, docetaxel, doxorubicin, etoposide, 5-fluorouracil, gemcitabine, cisplatin)とビスホスフォネートの間で併用効果は得られ、特にdocetaxel, etoposideではビスホスフォネート単独投与と比較し有意差を示した。一方、methotrexateでは相加効果も認めなかった。これらの原因を究明するため細胞周期解析を行った。G1-, S-, G2/M-期の変化は単独のビスホスフォネート投与の時と比較し明らかな変化はなかったが、Sub-G1期の細胞比率の増加は認めた。今回の結果から通常の抗腫瘍薬剤では効果が得られにくい悪性軟部腫瘍に対してビスホスフォネートを併用することで直接的な抗腫瘍効果の増強が得られる可能性が示唆された。 2. 悪性軟部腫瘍に対する第3世代BPsの抗腫瘍効果の検討(in vivo) HT1080細胞をマウスに移植しビスホスフォネートを投与し単独投与による抗腫瘍効果を検討した。これまでに報告した骨肉腫細胞と異なり抗腫瘍効果を得るには高濃度のビスホスフォネートが必要であった。in vivoで効果を得るには併用療法やdrug delivery systemの開発などの工夫が必要であると考えた。
|