研究概要 |
近年、様々な悪性腫瘍においてがん幹細胞の存在が示唆され、再発・転移などへの関与が指摘されている。本研究では、肉腫においても幹細胞様細胞が存在し、その薬剤抵抗性への関与等をhumanosteosafcoma MG63, Ewing's sarcoma HTB166, fibrosarcoma HT1080細胞株を用い検索した。 すべての細胞株は、無血清・非足場依存でsarcosphereを形成し、そのsarcosphereは0.2-0.8%のpopulationで存在、secondary sphere形成による自己複製能、幹細胞関連遺伝子Nanog, Oct3/4, STAT3およびSOX2の発現増加をみ、幹細胞様性格を有していると考えられた。 さらにsarcosphere cellsは、doxorubicinとcisplatinに対し強い抵抗性を示し、その機序としてDNArepair enzyme genes, MLH1and MSH2の発現増加によるDNA修復能の増強の関与が一部示唆された。従って、DNA修復阻害薬であるカフェインの併用により化学療法剤の薬理効果の増強が確認された。 幹細胞様細胞ではラット肉腫で見られたものと同様(Fujii H, et al, BBRC,2007)INK4a遺伝子の発現低下が確認されており、細胞の老化に関与することにより幹細胞様性質の獲得に必須のものであることが示唆された。 これは、epigeneticな調節の関与が示唆され、様々な腫瘍細胞株、様々な遺伝子についてその検索を行っている。
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