軟骨肉腫は化学療法等に抵抗性で外科的治療のみが有効とされる悪性骨腫瘍である。神経伝達物質のGABAが転移性ヒト前立腺癌に高度に発現し、さらに正常軟骨細胞においても発現がみられことから軟骨肉腫においてもGABAの関与が推測される。そこでGABAシステムによる従来法に比べより特異性が高く簡便で迅速な軟骨肉腫の新規診断法と予後改善が期待できる軟骨肉腫における化学療法の開発を目的とした。 <新たな鑑別診断法の確立>本学と他施設(大阪大学、大阪府立成人病センター、大阪医療センター)から供与を受けた分化度の異なる軟骨肉腫の標本に対して特異度の高かったGABA合成酵素であるGAD65mRNAの発現量を調べた。 【結果及び考察】分化度が低く悪性度の高いほど軟骨肉腫及び軟骨肉腫細胞株のGAD65mRNAの発現量が高い傾向にあった。以上のことからGAD65はヒト軟骨系腫瘍の分化度に関連した悪性度の鑑別に有用であった。 <新たな治療法の確立>軟骨肉腫細胞株であるOUMS-27に対してGABA_B受容体のアンタゴニストCGPを添加しTUNEL法にてアポトーシスの誘導の有無について調べた。 【結果および考察】軟骨肉腫細胞株であるOUMS-27においてGABA受容体アンタゴニストCGPの添加により核の凝集を伴うアポトーシスに陥った細胞が観察され、さらにCGPの濃度依存性にアポトーシスが誘導されることが確認できた。このことからヒト軟骨肉腫細胞の増殖過程においてGABAシステムの関与が示唆された。
|