研究概要 |
1)胎児期発生過程における骨-靱帯移行部の組織学的検証 妊娠ラットを用いて、胎児期の軟骨原基からACL/PCLが独立していく過程での骨靭帯移行部の変化を妊娠週数ごとに免疫組織学的に観察した。前年度までの、HE, Toluidine blue, Safranin O, Type 1,2,3,10 collagenによる免疫組織学的研究成果は、第24回日本整形外科学会基礎学術集会にて発表し、投稿論文執筆中である。その後の追加実験(N-100蛋白,TGF-β, BMP, Noggin, Sox 9)により、この部位の器官形成に最も重要と思われるターゲット蛋白がSox 9あるいはBMP/Nogginと考えられるため、さらに検証実験の継続を予定している。また、これらの結果については本年度6月のESSKAにて発表予定である。 2)骨孔法によらない骨-移植腱固定法の確立と組織学的検証 骨孔をあけずに、靱帯付着部の皮質骨のみを除去し、そこへ移植腱を独自のmultiple pullout法にて間隙が出来ないように密に圧迫固定する新たな靭帯再建動物モデルを作成した。本法によれば、正常の4層構造を構築する事はできないものの従来の骨孔法よりも軟骨を介した骨-靭帯移行部を形成する確率が高まる事が判明し、その結果の一部は第24回日本整形外科学会基礎学術集会(パネルディスカッション)で発表した。本年度は、この動物モデルを安定的に作成するための追加実験の後、上記2)のターゲット蛋白:SOX9あるいはBMP/Nogginの導入を試みる。
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