研究課題/領域番号 |
20591771
|
研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病セン |
研究代表者 |
吉岡 潔子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病セン, 主任研究員 (40342993)
|
研究分担者 |
伊藤 和幸 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 部長 (20301806)
|
キーワード | SSX / lung metastasis / invasion / MMP-1 / siRNA / LC / MS / MS / ChIP |
研究概要 |
Synovial sarcomaの融合原因遺伝子として報告され、Cancer-testis antigenの一つであることからvaccine療法の標的として臨床試験が米国で開始されたSSXの生物学的機能について検討した。我々は、SSXの高発現がstageのすすんだ骨軟部腫瘍で認められる事を既に報告した。そこで、ヒト線維芽肉腫細胞株HT1080(SSXを内因性に高発現)にSSXを過剰発現させた安定株を樹立すると、soft agar colony formation、運動能、浸潤能の亢進、Rac1の活性化、その下流の分子モーターmyosinの活性化を認めた。逆にSSX特異的なsiRNAをHT1080 cellに導入したところ、SSX発現レベル、浸潤能、運動能の低下を観察した。この際、membrane rufflingの減少とRac 1の活性低下を認めた。さらに、SSX導入HT1080 cellsがxenograft modelで高率に肺転移を来すことを観察しており、siRNAを用いた治療実験で腫瘤の増殖抑制、肺転移の抑制を認めた。次に、SSXの下流の遺伝子の解析のため、HT1080 cellを用い、SSXを外因性に高発現する細胞株と、siRNAで発現抑制した細胞株、コントロール細胞株における種々RNA発現をAgilent社microarrayにて解析し、SSXにより発現調節される分子として、MMP-1を見いだした。SSX発現に伴う、MMP-1のタンパクレベルでの発現量、酵素活性の変化を確認し、さらに、MMP-1promoter領域にSSXが結合することをChIP assayにて確認した。以上の結果より、SSXは、種々のtarget遺伝子(MMP-1等)のpromoter領域に結合し、転写調節を行うことで、細胞運動能や浸潤・転移能を正に制御していることが推定され、骨軟部腫瘍肺転移の新規分子標的と考えられた。
|