1)ウイルスゲノムDNAのBACmidへのクローニング 薬剤としてのウイルス医薬品の規格を統一するためには、均一なゲノムDNAをもつウイルスを増幅する必要がある。そのための最も一般的な方法は、ウイルスDNAの増幅を哺乳動物細胞の系からプラスミドを用いた大腸菌の系に変換することであり、最近、BACmidを用いた大腸菌での増幅方法が開発されている。ヘルペスウイルスゲノムのUL3とUL4遺伝子のpolyAシグナルの中間点にBACベクターを挿入するための既に作製済みの14453bpの全人工合成BACmid挿入ベクターを制限酵素のClaIでカットし、リニアライズした後精製したウイルスゲノムDNAと連結し、大腸菌にトランスフォームした。 2)HSV-1ゲノムDNAのVero細胞への導入とウイルスシードストックの作製 異なる時期に精製したウイルスを、既に研究代表者と研究分担者らが作製済み(GMP準拠)で、米国での生物学的評価試験を終了したICP4発現Veroデザイナーセルにリポフェクション法を用いて導入した。デザイナーセルをVP-SFM無血清培地で培養し、培養上清からウイルスを回収し、ウイルスシードストックとした。ウイルスシードストックを上記ICP4発現Veroデザイナーセルに感染させ、培養ボトルごとのCPE(Cytopathic effects)を均一にして培養上清を採取し、遠心後-80℃の超低温フリーザーに保存した。それぞれのウイルスシードストックにつき、ゲノムDNAを精製した。HSV-1のチミジンキナーゼ遺伝子のプライマーを用いたダイレクトPCRシーケンス法を用いて塩基配列を決定し、精製の時期やバッチによらずTK遺伝子の塩基配列が一定であることを確認した。
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