研究概要 |
3年目であり最終年となる本年度は以下の成果を得ることができた 1)生理的条件下でのGSK3β+/-マウスの骨軟骨組織の解析(後半):初年度のin vivoでの解析、2年目の骨芽細胞におけるin vitroの結果をふまえて、3年目はin vitroでの軟骨細胞の解析を以下のように行った。GSK3β+/-とWTの成長板から軟骨細胞を採取して両マウスで比較検討を行った。軟骨細胞の増殖は、増殖曲線およびBrd-U取り込み能により評価したが、明らかな差を認めなった。軟骨細胞の分化・基質合成能について、経時的にII型およびX型コラーゲン,aggrecan, ALPの発現レベルをリアルタイムPCRなどで検討した。軟骨細胞における一連の分化・基質合成能についての検討ではGSK-3β+/-と同胞野生型間での明らかな相異は認めなかった。 2)病的条件下でのGSK3β+/-マウスの骨軟骨組織の解析(後半):前年度に引き続き変形性関節症の発症におけるGSK3βの関与を検討した。前年度に加えてサンプルサイズを増やすべく、マウスの実験的変形性関節症モデルをGSK3β+/-とWTに作成し、その病態の進行過程をX線学的・組織学的に比較検討を行った。しかし、やはり、GSK3β+/-マウスと同胞野生型マウスの間では明らかな変形性膝関節症進行度の相違を認めなかった。 3)骨芽細胞、軟骨細胞におけるGSK3βの上流および下流のシグナル分子の同定(後半):上記のごとく軟骨細胞においてはGSK3βによる作用が明らかとはならなかったため、昨年度の解析を引き継ぎ、骨芽細胞において下流シグナル分子の検索を行った。GSK3β分子から下流分子へのシグナル伝達について、BMP、古典的Wnt、TGFβシグナルなどの相互作用について検討を行ったがこれらのシグナルの活性化はGSK3β単独では明らかとならなかった。
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