研究概要 |
1.関節リウマチ者における転倒頻度と危険因子の解明(転倒リスク縦断調査) 65歳以上の関節リウマチ84例を対象に、転倒リスクに関する以下の評価を行った:背景因子、運動機能、重心動揺検査、筋電図による筋量推計、CTによる下肢及び体幹筋量推計、骨密度:腰椎、大腿骨、全身骨lean body mass、ライフコーダによる1日平均歩数、運動時間。その後1年間の前向き転倒頻度調査を行った結果転倒率は50%で一般高齢者よりも高値であり、降圧利尿剤服用、片足立ち時間が有意な予測因子であった。 2.変形性関節症(人工関節置換関節症例)における転倒リスクの検討 変形性関節症の人工関節置換(TKA)例ではアライメントの改善、関節痛みの除去により伸展筋力は改善し、歩行時の筋活動は効率化されるものの、内側広筋と外側広筋の筋活動比率は内側広筋が劣っていた。さらに退院後に転倒した群は非転倒群に比べて内側広筋の活動が外側広筋にくらべ劣っていた。これらの変化は転倒リスクと関連すると考えられた。 3.老齢関節炎モデルにおける骨粗鬆化の病態解明(非臨床研究) 老齢SDラットを使用し、2型コラーゲン誘発関節炎(collagen-induced arthritis, CIA)を発症させ、CIAラット及び非CIAラットに対して、右脛骨に4点曲げ荷重を加えた後、安楽死させ、左右の脛骨を摘出し、解析のための標本作製を行った(左側は対照)。c-fos、osteocalcin、IGF-1、TGF-β1、cox-2、c-junを対象の分子に設定して、RT-PCTにてそのmRNAの発現を明らかとした。 4.大腿骨近位部骨折再骨折発生の危険因子解明 大腿骨近位部骨折について9施設892例を対象に調査票による調査を行った。その結果、43例で1年以内に再骨折を認め、その危険因子を解析した。
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