研究課題
昨年度の研究から、自己抗原特異的T細胞レセプター(TCR)遺伝子導入マウスのCD8T細胞の分化、維持、さらに活性化の局面においてもIL-15は重要な役割を果たしていることが明らかになったが、本年度では、まずその詳細な反応機構について解析を行った。特にMHC欠損マウスとIL-15欠損マウスとの組み合わせて作成した、混合骨髄キメラマウスを用いた解析からは、自己抗原特異的CD8T細胞がIL-15に反応する際、同一の骨髄由来細胞に提示された抗原ペプチドとIL-15が同時に認識することが必要であることが分かった。さらに、これらIL-15反応性自己抗原特異的CD8T細胞は、その分化過程において、骨髄由来細胞によって正の選択を受けることも明らかになった。これは胸腺上皮細胞に発現する自己MHC分子によって正の選択を受ける、通常の外来抗原特異的CD8T細胞とは大きく異なる性質である。特に加齢に伴い胸腺組織が退縮すること、加齢とともに自己免疫疾患の発症が増加することを考えると興味深い知見と思われる。本年度は上記のCD8T細胞の解析に加え、CD4T細胞の解析も試みた。近年、CD4T細胞の機能分化において、IL-15とそのレセプターや下流のシグナル伝達分子Stat5を共有するIL-2は、IL-17産生Th17細胞への分化は、むしろ負に制御することが示されているが、我々の現在までの解析ではIL-15はIFN-γ産生Th1細胞の分化には促進的に作用するが、Th17細胞の分化には明らかな影響は与えなかった。このような違いが生じる分子機構については、現在解析中である。
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