変形性関節症(Osteoarthritis : OA)の病因は未だ不明である。ストレス反応性分子Gadd45βに着目し、病態解明・治療法開発を目的に分子生物学的検討を行った。これまでの研究の知見で、Gadd45βは転写因子C/EBPβと協調してOA軟骨に特異的にみられる肥大軟骨細胞の分化を正に制御する。そこでGadd45βおよびC/EBPβのconditional transgenic miceを作成した。将来的には、double transgenic miceに実験的OAを作成し、組織学的検討をするとともに、両遺伝子発現をAdenovirusを用いた系で抑制し、Gadd45βとC/EBPβがOAの治療標的分子群となりえるか検討する。Conditional Gadd45β transgenic mice・Conditional C/EBPβ transgenic miceの作成時間特異的軟骨特異的に発現調節するためにTet-off vectorとCOMP (Cartilage Oligomeric Matirx Protein) promoterを用いてmCOMPTA/pcDNA3.1 miceを作成し、Gadd45βの発現vectorをinjectionしたpTR-Tight/Gadd45β miceと交配させ、Conditional Gadd45β transgenic miceを作成した。 受精とともにGadd45βを強制発現させた成長軟骨では軟骨細胞の増殖期からの早期の肥大化が引き起こされ、内軟骨性骨化が早期に起きることにより長管骨の短縮変形が生じた。 Conditional C/EBPβ transgenic miceもほぼ同様の四肢短縮を認めた。 このことから、Gadd45β/C/EBPβを軟骨特異的に強制発現させるmiceでは軟骨細胞の肥大化が促進されることが確認でき、adult miceの関節軟骨にOA様変化(骨棘形成)を来たす可能性があると考えられた。
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