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2011 年度 実績報告書

骨代謝における神経制御機構の解明:転写因子Pax6を介したシグナル伝達について

研究課題

研究課題/領域番号 20591790
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

加藤 直樹  埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90448895)

キーワード骨代謝 / p38MAPK / Pax6 / 転写因子 / 破骨細胞 / 神経再生
研究概要

我々は、骨代謝、リモデリングにおける神経系制御に着目し、転写因子であるPax6や、これを活性化するMAPキナーゼ(MAPK)と呼ばれるSer/Thrリン酸化酵素の1つであるp38MAPKを中心に研究を行ってきた。これまでp38MAPKは、その遺伝子破壊マウスが胚性致死をきたすため、個体レベルでの生理的機能については不明のままであった。そこで我々はp38の転写因子を介するシグナル伝達経路の活性化が維持され、酵素を介するシグナル伝達のみを阻害するノックインマウス(semマウス)、活性型p38を過剰発現してシグナル伝達が増強された遺伝子組み換えマウス(DDマウス)を作製し、骨代謝および神経再生の両面から個体レベルでのp38MAPKの機能について詳細に検討してきた。まず骨代謝について検討したところ、骨密度は野生型と比較して、semマウスで高く、特に海綿骨では有意差を認めたが、DDマウスでは野生型と比較して有意差を認めなかった。また細胞培養の結果から、こうした骨密度の増加は破骨細胞の分化阻害により生じていると思われた。次に神経再生におけるp38MAPKの生理的機能について検討し、semマウスでは神経組織の成長には影響が出ないが、損傷後の神経再生は組織学的にも機能的にも遅延することを確認した。一方、DDマウスの神経再生はsemマウスより促進されたものの、野生型と比較して遅延していることを確認した。p38MAPKは炎症の制御分子として、また、炎症治療の分子標的として注目されており、神経損傷後の炎症はWallerian変性とその後の神経再生において不可欠であることが知られている。そこで、炎症性サイトカインであるTNFαおよびIL-1βの発現に着目した。その結果、semマウスではTNFαおよびIL-1βの発現パターンが野生型と異なる事を見出した。加えてWallerian変性の指標となるCaspas6-3や神経再生の指標となるTenascin-Cについても検討し、TNFαおよびIL-1β同様、その発現パターンが異なる事を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

p38MAPKが個体レベルで骨代謝および神経再生に影響を与える事を確認出来た。

今後の研究の推進方策

こうしたp38MAPKが関わる骨代謝および神経再生の変化について、その作用機序について検討したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Radiohumeral Arthrodesis for Severe Open Communited Fracture Using External Fixation : A Case Report2012

    • 著者名/発表者名
      Kato N, Torio T, Oda H, Sakai H
    • 雑誌名

      J Trauma Treatment

      巻: 1(Open Access)

    • DOI

      10.4172/jtm.1000105

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生体内のp38 MAPKの酵素を介したシグナル伝達経路に神経再生制御因子が存在する2011

    • 著者名/発表者名
      加藤直樹, 吉澤貴弘, 野村英介, 酒井宏哉
    • 雑誌名

      末梢神経

      巻: 22 ページ: 200-201

  • [学会発表] 生体内のp38 MAPKの酵素を介したシグナル伝達経路に神経再生制御因子が存在する2011

    • 著者名/発表者名
      加藤直樹, 松本征仁, 緒方正人, 禾泰壽, 酒井宏哉, 織田弘美
    • 学会等名
      第22回日本末梢神経学会
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      20110902-20110903

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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