研究概要 |
本研究では,関節疾患の診断におけるフルオロスコピー等のX線動画像を対象に,3D-CTモデルとX線動画撮像環境を基に6自由度に変化するコンピュータシミュレーション画像を,画像相関法を用いイメージマッチングすることにより,正確な6自由度関節動態を解析し,コンピュータ支援診断の可能性を確認する. 昨年度までに,基本となる動態解析ソフトの開発は完了し,臨床応用可能な誤差レベルであることが確認されていた.本年度は臨床での診断機能の付加を目的に,前後十字靭帯やその機能束の付着部位間距離の計測機能や軟骨変形量を概算する大腿骨と脛骨の軟骨下骨間距離分布を解析するソフトを開発した.正常膝を対象にした歩行等の動作解析において伸展位でのACLの伸張や高屈曲位でのPCLの伸張,さらにローリングバックによる軟骨変形部位の動的変化など解剖学的に妥当と思われる現象を定量的に確認できることを明らかにした.さらに,人工膝関節置換手術の前後における生体関節と人工関節の動態解析に対し,両計測において合理的かつ一般的に比較可能な座標系を提案しており,臨床での測定に反映させることを検討している.次年度以降についてはFEMによる組織内部の応力変化の提示や軟骨表面での接触圧表示など力学的な解析を動的に組み込み,臨床でのコンピュータ支援技術としての可能性を検討する.さらに,他の診断手法による結果と併せて蓄積し,知能化することにより,より高い精度での診断を可能にするシステムへと開発を検討している.
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