研究概要 |
本研究では,関節疾患の診断におけるフルオロスコピー等のX線動画像を対像に,3D-CTモデルとX線動画撮像環境を基に6自由度に変化するコンピュータシミュレーション画像を,画像相関法を用いイメージマッチングすることにより,正確な6自由度関節動態を解析し,コンピュータ支援診断の可能性を確認する. 平成20年度までに,基本となる動態解析ソフトの開発は完了し,臨床応用可能な誤差レベルであることが確認されていた.21年度は臨床での診断機能の付加を目的に,前後十字靭帯やその機能束の付着部位間距離の計測機能や軟骨変形量を概算する大腿骨と脛骨の軟骨下骨間距離分布を解析するソフトを開発した.本年度は,さらに臨床での診断機能を充実させるべく,関節運動の6自由度記述としてヘリカルアクシス表記を検討し,軟骨変形量と併せて記述することにより患部の特定等の可能性を確認した. 健常者を対象にしたスクワットや階段昇降の荷重下におけるヘリカルアクシス表記では脛骨関節面上方からの大腿骨の屈曲伸展運動の変化において,アクシス自体が連続的に変化しその交点の集合するところにピボットが存在することが確認された.スクワット運動ではメディアルピボットの例が多く,ピボットシフトのタイミング等を検出することができた.さらに,ヘリカルアクシスが脛骨関節面上に垂直に傾くことにより内外旋,前後に傾くことにより内外転が優位な動きになっていることが確認され,病態診断や補償動作の解析に有効であると考えられた. 本研究における成果を人工関節置換術前後の関節運動に適用することで深屈曲運動のメカニズムや深屈曲可能な人工膝関節開発へ応用することを検討している.
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