研究概要 |
平成21年度中に我々は、初回人工股関節術後1-3年経過した患者30例に対してリアルタイム四次元動作解析システムを用い、立位、臥位、歩行のほか、大きな股関節運動を伴うインピンジメシトのリスクを含むしゃがみこみ(Squatting)、椅子での起座動作、正座動作、立位での股関節伸展外旋動作などの動作について解析し、日常動作で必要となる可動域の設定として,われわれが過去に報告した術中ナビゲーションを用いて測定した患者股関節可動域で十会である可能性が高いことを確認し、とくに骨盤後傾患者では可動域が伸展側にシフトする傾向を認め、これらの知見を論文報告した。 これらの必要可動域のもとに人工関節パーツの至適設置角度に関するシミュレーニションを行い、イシピンジメントを防止するためにはかなり狭い許容範囲内に設置する必要があることや、近年使用可能となった大径骨頭ではこの許容範囲がやや広くなることを示し、日本股関節学会、日本人工関節学会で報告した。これらの許容範囲に従来のマニュアル手術で設置可能かどうかについて従来手術とナビゲージョン手術でのカップ設置精度を比較し、Asian Society for Computer Assisted Orthopaedic Surgeryや日本股関節学会でマニュアル手術ではカップ設置精度が悪く、インピンジメントを防ぐためにはナビゲーション等の補助的手段が必要であることを報告した。近年本研究テーマであるインピンジメント関連合併症の防止のための至適カップ設置についての興味が関運学会でも高まっており、日本人工関節学会でカップ設置角を科学するというシンポジウムが組まれ、本研究での成果を報告した。
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