研究概要 |
リアルタイム四次元動作解析システムを用い、立位、臥位、歩行のほか、大きな股関節運動を伴うインピンジメントのリスクを含むしゃがみこみ(Squatting)、椅子での起座動作、正座動作、立位での股関節伸展外旋動作などの動作について解析し、日常動作で必要となる可動域の設定として,われわれが過去に報告した術中ナビゲーションを用いて測定した臥位骨盤を基準(PFPP)とした患者股関節可動域で十分である可能性が高いことを確認し、とくに骨盤後傾患者では可動域が伸展側にシフトするもののこの可動域からは逸脱しないことが判明した。これらの必要可動域のもとに人工関節パーツの至適設置角度に関するシミュレーションを行い、インピンジメントを防止するためにはかなり狭い許容範囲内に設置する必要があることが確認された。 これらの許容範囲に従来のマニュアル手術で設置可能かどうかについて従来手術とナビゲーション手術でのカップ設置精度を比較し、マニュアル手術ではカップ設置精度が悪く、インピンジメントを防ぐためにはナビゲーション等の補助的手段が必要であることを報告した。 さらに近年使用可能となった大径骨頭ではこの許容範囲が広くなる傾向がありとくにメタルオンメタルカップでは非常に広くなることを示した。しかしながら、近年インピンジメント防止の観点以外に急峻なカップ外転角設置によるメタルイオン関連合併症が報告されており、その使用については否定的な意見が多くなっている。したがって広く使用されているメタルオンポリエチレン、セラミックオンポリエチレン、セラミックオンセラミックの機種においては、現行の大径骨頭を使用したとしても、カップ設置の許容範囲は従来のマニュアル手術では実現不可能であり、やはりナビゲーション手術の必要性が再確認された。
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