研究概要 |
幅広く使用されている吸入麻酔薬セポフルランは虚血再還流の心臓において心室細動の発生頻度を減少させるなど、何らかの抗不整脈作用がある可能性が示唆されることから、昨年度、我々は単離心筋細胞を用いてセボフルランの一過性外向きKイオンチャネルに及ぼす影響をパッチクランプ法で検討した。今年度はslow型遅延整流Kチャネルの構成タンパクであるKCNQ1,およびKCNE1のcDNAをマウス由来のHEK細胞に発現させた。パッチクランプ法を用いて、矩形波パルス電流を用いた電位固定プロトコールでチャネル電流を測定し、吸入麻酔薬による変化を観察した。 その結果、セボフルラン(0.5mM)は、ベースライン電流に対してOmVにおいて58±5%,20mV時に67±5%,40mV時に69±5%,60mV時に69±5%の電流抑制効果をもたらした。 本研究では2種あるIKs電流のうちrapid型の影響を除き、slow型のみの電流への影響を観察することができた。その結果、セボフルランがslow型IKs電流を抑制することが明らかとなり、3群抗不整脈薬のように活動電位を延長させて抗不整脈作用を持つ可能性が示唆された。
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