本年度も昨年度と同様にプロポフォールの出血性ショック時に鎮静効果および体動抑制効果がどのように変化するかブタ出血性ショックモデルを用いて検討した。 <方法>昨年同様、体重30kg前後のブタを用いた。準備も昨年と同じ。 コントロール群と出血群に分類、プロポフォールを50mg/kg/hrで持続投与を開始。2分毎に採血し、同時に2分毎上肢を鉗子でクランプし、体動がみられるか観察した。体動消失でプロポフォールを中止した。採血は自発的体動がみられるまで継続した。 脳波(BIS)および侵害刺激に対する体動の両方の薬物力学的反応をプロポフォール濃度と解析した。解析は血中プロポフォール濃度と脳波または体動間のヒステレーシスループから効果器プロポフォール濃度と脳波または体動間の用量反応曲線を導き、各薬物力学的パラメータを算出した。 <結果>出血性ショック群ではBISが基準値の50%に低下するまたは体動がみられなくなるのに必要なプロポフォール量が約6割、4割にまで低下した。BISが50%低下するときまたは体動が50%みられなくなる効果器濃度は出血性ショック群で約2割低下した。鎮静同様、体動抑制効果も薬物動態力学的変化によって増強すること、またその程度は体動抑制効果が大きく増強する吸入麻酔薬と異なり、鎮静体動抑制ともに同程度であることがわかった。
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