研究課題/領域番号 |
20591808
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
新宮 千尋 大分大学, 医学部, 助教 (30295191)
|
研究分担者 |
松本 重清 大分大学, 医学部, 助教 (90274761)
横井 功 大分大学, 医学部, 教授 (80150366)
野口 隆之 大分大学, 医学部, 教授 (90156183)
|
キーワード | 脳低体温療法 / フリーラジカル / 電子スピン共鳴 |
研究概要 |
20年度は、基礎研究として、動物全脳虚血モデルの作成と、安定した低体温療法の確立を行った。Wistar系雄性ラットを用い、全身麻酔下、経口気管挿管し、筋弛緩薬投与により呼吸停止、心停止させることで全脳虚血とした。呼吸停止から6分後、人工呼吸器で呼吸再開させ、重炭酸ナトリウム、エピネフリン投与及び心臓マッサージによって蘇生を試みた。最終的には、約60%の蘇生率を達成し、蘇生成功例では、ほぼ全例1週間生存できることを確認した。また、蘇生後1週間生存ラットの脳摘出標本において、CA1領域の細胞脱落を認めたことから、この蘇生モデルを使った研究で、CA1領域の組織学的変化が、治療効果の評価として利用できることを確認した。 一方、低体温療法の確立については、水冷循環式冷却装置を改良し、全身麻酔、人工呼吸下のラットに対して、速やかな冷却と目標温度の安定した維持が可能となった。そして、低体温そのものの影響について検討するため、ラットの血行動態1の変化、深部体温の変化、どの程度低体温に耐えうるか、自発呼吸出現までの時間、復温のタイミング等、実際のモデルで施行する場合に必要となる基礎データ収集を行った。当初の低体温療法の目標温度である34〜35℃においては、バイタルサインは安定し、復温後の覚醒もスムーズであり、実際の蘇生モデルに適用できると判断された。 これらの基礎研究の成果をもとに、21年度は、全脳虚血モデルに低体温療法を施行し、組織中のフリーラジカルをESRを用いて定量化し、組織学的予後、生存率、サイトカインとの関連を分析して、フリーラジカルの動態が、治療指針となりうるかを検討する。
|