研究概要 |
本研究は肺高血圧症に対するウイルスを使用しない安全な遺伝子治療として、プラスミドベクターをラット肺へ持続的に発現させる基礎的実験、更に肺高血圧モデルを用い肺組織におけるVIP,PACAPの発現による実験的治療の検討を行った。 1)ラット肺高血圧モデル作成;モノクロタリン投与4週間後に右室圧/血圧比、右室/左室重量比より肺高血圧、右室肥大を来たしていることを確認した。 2)Western blot analysis、免疫組織学的検討により肺高血圧ラット肺組織中のVIP受容体VPAC2、PACAP受容体PAC1の発現量の有意な増加を認めたが、VPAC1は不変であった。またmRNA発現量も同様の結果であった。VIP,PACAPのmRNAは肺高血圧ラット肺組織中では低下していた。これらの結果よりVIP,PACAP発現減少に対し代償的VPAC2,PAC1が増加していると推定し、この仮説を検証するため,VIP,PACAP補充により肺高血圧の治療効果の検討を行った。 3)VIP及びPACAP発現プラスミドベクター作成;マウス組織mRNAからcDNAを得、PCRによりVIP,PACAPをクローニングした後、哺乳動物細胞で発現するベクターに組み込み作成した。 4)ベクター導入方法検討;肺組織へのプラスミドベクターを用い、静脈注射、エレクトロポレーション,及びアデノウイルスベクターによる導入法の検討を行った。
|