研究概要 |
ダイナミックに変化する麻酔導入時の脳波の変化を,マクロなネットワークレベルでの神経活動の再帰的な統合の面から解析する目的で、ウエーブレット関数を用いた周波数間位相同期化解析手法を検討した。ニューロン活動は刻々と変化するので、フーリエ変換を使用したバイコヒーレンスの算出法では、ダイナミックな変化を検出することができない。そこで、短時間でneuronal oscillationsを検出できる方法を採用する必要性がある。ウエーブレット変換を用いたバイコヒーレンス解析法は、nonstationaryなダイナミックな神経ネットワーク活動動態を検出できる可能性がある強力な方法である。近年、wavelet bicoherenceが、ニューロンネットワークの一時的な神経振動の位相同期を検出できることが明らかにされた。しかしながら、検討の過程で、Morletを基調としたwavelet bicoherence法では、パーソナルコンピュータ側に相当な演算コストがかかることがわかってきた。そこで、こうした欠点を補うべく、short-time fourier 変換と continuous wavelet変換を結合した、効率よく高自由度,高分解能の解析が可能なharmonic wavelet変換を使用する方法を現在応用中である。適切なharmonic waveletのパラメータを決定するためには、信号x(t)とウエーブレット関数φ(t)の類似性を、異なるタイムスケールを用いて、wavelet coefficientsと呼ばれる係数を算出することが必要であった。5second、24epochsの脳波信号を解析した試みでは、1-8 Hzと8-30Hz間の位相同期が、この手法で検出できた。
|