研究概要 |
[目的]高血圧の原因遺伝子の一つであるrock遺伝子の遺伝子多型(SNP、Single Nucleotide polymorphisms)の違いにより、血圧に有意な差が生じることが報告されている。今回われわれは、日本の集団でのrock2遺伝子におけるSNPのアレル頻度を明らかにし、血圧に対する影響を検討した。さらに、麻酔導入時における麻酔薬による血圧変動の差を検討し、rock臆伝子のSNPがこの血圧変動に影響をあたえるかを検討した。[方法]和歌山県立医科大学遺伝子研究倫理委員会承認によるプロトコールにて、書面にて同意を得た患者を対象とした。全身麻酔導入前に患者の血行動態を測定した。全身麻酔をプロポフォールにて麻酔導入を行い、セボフルラン存在下、非存在下における血行動態の変動を測定した。全身麻酔導入後に患者から採血し,後日SNPタイピングを行い、野生型、変異型,ヘテロ型に分類した。このSNPタイピングに従った群における血行動態の30%以上あった頻度を解析した。[結果]rock2造伝子のSNP(rs9808232)による各群間で、安静時の血圧へ有意な差を認めなかった。また、各群間で、麻酔導入時の血圧変動の大きかった患者の頻度も有意な差を認めなかった。各群間で、セボフルラン存在下、非存在下における血圧変動の大きかった患者の頻度も有意な差をみとめなかった。[結語]日本人において、rock2のSNP(rs9808232)は、血圧制御への寄与は大きくない事が示唆された。
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