研究概要 |
過去20年間に脳虚血時の脳保護薬を求めて莫大な研究がさまざまな薬を対象として行われてきたが未だ有効な薬の開発に至っていない。本研究は、ネックターニケット法による一過性全脳虚血と頭窓法を組み合わせた日本白色家兎モデルを用い、性差および性ホルモンの心肺蘇生時の脳保護に与える影響を解明し、最終的には適切な性ホルモンの心肺停止直後の単回あるいは短期間の投与が心肺蘇生時の脳保護効果を証明することを目的としている。 平成20年度は日本白色家兎Femaleを用いて、一過性全脳虚血におけるplacebo(生食コントロール)、エストロジェン、アンドロジェン投与を行い、アセチルコリンを頭窓内に直接投与して内皮依存性血管反応性の変化とCO2反応性を評価して脳虚血後の脳血管障害に対する性ホルモンの効果を検討した。コントロールでのネックターニケット結果にばらつきがあり、均等化した実験モデル作成に時間がかかったが、ようやく安定した結果が得られるようになったため、CO2反応性を評価したところ、preliminary dataでは、placebo群も実験を行った虚血時間ではCO2反応性は保たれており、エストロジェン、アンドロジェン群に差は見られなかった。また、エストロジェン、アンドロジェンの至適投与量の検討が必要であったため、a)エストロジェン投与群(17β-estradiol;0.5mg/kg, 1.0mg/kg, 2.0mg/kg iv.)、b)アンドロジェン投与群(testosterone; 0.025mg/kg, 0.05mg/kg, 0.1mg/kg iv.)を施行した。エストロジェン、アンドロジェンともに1.0mg/kgが最もアセチルコリン反応性を改善させるようであったが、結果をさらに細かく分析して至適容量を決定し、平成21年度にその決定した濃度で予定している9群(Female、卵巣摘出Female、Male)を検討する。
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