研究課題/領域番号 |
20591827
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
山崎 登自 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20116122)
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研究分担者 |
北川 裕利 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (50252391)
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キーワード | 心筋虚血 / 心筋バイアビリティ / 細胞傷害 / ミオグロビン / デシピラミン / ノルアドレナリン / 交感神経 / 細胞内カルシウム |
研究概要 |
虚血・再灌流ならびに慢性心筋梗塞においては傷害が心筋のみならず周囲に分布する交感神経・副交感神経にまでおよび、こうした傷害が致死的な不整脈の発生や心不全の増悪因子となり、きわめて重大な影響を及ぼす。我々はこの2年間で心臓マイクロダイアリシス法をラット心筋に適用し、心筋間質透析液中の神経伝達物質や逸脱蛋白を連続的に測定することで心筋傷害の程度を推測できる系を完成させてきた。具体的にはプローベを植え込んだ領域の冠動脈を30分間閉塞・60分間再灌流して心筋透析液の細胞傷害逸脱蛋白を測定し、その濃度応答を細胞障害の指標として使用できることを確立した。本年度は細胞傷害を誘発するデシピラミンのマイクロダイアリシスファイバー介した投与により心筋透析液ミオグロビン濃度応答を測定することで血流の途絶の影響を受けずにその周囲の心筋細胞の細胞膜の健全性を推測出来る手法を確立した。その濃度応答が直前の虚血強度と負の相関をもつことから、心筋虚血傷害後の残存心筋バイアビリティの指標となることが証明できた。現在、虚血再灌流傷害時の交感神経・副交感神経調節系の修飾が心筋傷害や残存心筋バイアビリティに及ぼす影響について検証を行っている。特に虚血時の心筋傷害を助長する因子として交感神経過剰興奮状態が示唆されていることから、ファイバーを介して高濃度ノルアドレナリンを投与した際のミオグロビン濃度応答および、その後のデシピラミン投与による濃度応答を測定したが、明らかな心筋障害の進展や残存心筋バイアビリティの減少は見られなかった。また、副交感神経過剰興奮状態による細胞障害抑制効果の有無を心筋傷害と残存心筋バイアビリティの両面から検証しはじめたところである。さらに、虚血心筋障害の主因であるCa^<2+>の細胞内流入機転と心筋傷害や心筋バイアビリティの関連についても検証を始め、細胞保護の分子基盤の解明にも取り組んでいる。
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