研究課題/領域番号 |
20591831
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
佐藤 健治 岡山大学, 病院, 講師 (70359884)
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研究分担者 |
溝渕 知司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (70311800)
西江 宏行 岡山大学, 岡山大学病院, 助教 (20379788)
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キーワード | シミュレーション工学 / 認知科学 / バーチャルリアリティ / 医療・福祉 / 臨床 |
研究概要 |
岡山大学病院ペインセンターでは平成17/18年度萌芽研究<仮想現実・擬似体験訓練による神経因性疼痛治療に関する研究>によりバーチャルリアリティ応用・鏡療法(VR/MVF)を開発した。またそのシステムは平成20年から22年度の基盤研究C<難治性疼痛に対する仮想現実鏡治療の効果検証>により更に改良が加えられた。システム(健常側に装着したサイバーグラブからの情報がモニター画面では患側の動きとして描出され、大きさ(難易度)の異なる対象物を掴んで棚に移動させるtarget-oriented motor task)に加えられた改良は、3種類の大きさの異なる対象物に加えて、掴むことで形が変形し、更に音が発生する対象物機能を付加した。また対象物が仮想空間内で自由に動き回る(対象物同士が衝突すると跳ね返る)機能を開発した。岡山大学病院ペインセンターにおいて幻肢痛やCRPS(複合性局所疼痛症候群)の患者に我々はそのシステムを応用して痛みの治療を行ってきた。その成果は2010年のPain Medicine誌に<Non-immersive virtual reality mirror visual feedback therapy and its application for the treatment of complex regional pain syndrome : An open-label pilot study.>として掲載された。また第2回備後運動器疼痛疾患研究会では招聘講演として<岡山大学病院ペインセンター・バーチャルリアリティ鏡治療>と題し我々が行っている治療の様子と将来的な展望を紹介した。 バーチャルリアリティを応用したシステムは高額となるためその治療場所は岡山大学病院ペインセンターに限定されてしまう。我々は患者がいつでも治療を行えるよう、家庭版簡易システムも並行して開発し実用化が可能な段階である。当該研究の最終的な目的は、VR/MVF治療中のタスクの進行状況を音情報に変換することで音楽を作成し、タスク実行中にその音楽を聴くことで、治療で賦活される内因性オピオイドシステムと音楽とを関連づけるシステムを開発することである。 また治療中に作成された音楽や映像を持ち帰り日常生活の場で聴くことで、治療中に関連づけられた内因性オピオイドシステムが再賦活化し鎮痛効果をえることである。この対象物の運動軌跡を音情報へ変換する方法としてヤマハTENORI-ONを購入し音への変換システムの開発してきた。平成21年度にはそれまでに開発していた対象物が仮想空間内で自由に動き回る(対象物同士が衝突すると跳ね返る)機能をもとにその跳ね返る面をヤマハTENORI-ONのバーチャル版として作成して、治療中に物体が衝突した部分が音(音楽)として演奏されるシステムが完成した。当該研究の最終年度にあたる平成22年度にはそのシステムを実際の治療に応用しその効果を検証する予定であったが、内因性オピオイドシステムの再賦活化を惹起するには対象物がTENORI-ONのバーチャル版と衝突時の音を主とする方が効果的なのか、手の動き(特に掌握時)にリンクした音が効果的なのかなどの調整を行った。
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