研究概要 |
悪性高熱症素因者リアノジン受容体(RYR1)に存在する遺伝子変異の中で,日本人にはC7522Tの変異が最も頻度が高いので,まず,この遺伝子変異をもつプラスミドを以下のように作成した.野生型RYR1がインサートされたプラスミドから制限酵素(ESiWI,SpeI)で約1600bpを切り出し,pBluescript IIにインサートした.このプラスミドを用いて,遺伝子変異を作成した.遺伝子変異の作成には,QuickChange Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を使用した.その後,C7522T変異の導入された断片を制限酵素(ESiWI,SpeI)で切り出し,RYR1にインサートすることで,変異型RYR1がインサートされたプラスミドを作成した.当初,MacLennan先生(トロント大学)から提供された野生型RYR1はpCDNAにインサートされたものであったが,RYR1は約15kbと非常に大きいため細胞への導入効率が悪かった.より簡便にRYR1の導入された細胞を確認するため,pTRE-Tght-pBI-AcGFPベクターを使用してGFPとRYR1を同時発現するプラスミドを作成した. 結果は,C7508T変異RYR1および野生型のRYR1のカフェインに対するEC50はそれぞれ2.62±0.23,1.86±0.23mMであった.また,4-クロローM-クレゾールに対するEC50はそれぞれ179.3±35.2,73.1±19.4μMであった.これらの結果からC7522Tの遺伝子変異は悪性高熱症を起こしうる変異のひとつであることが確認された. この変異はいわゆる"hot spot"から外れている.また,日本人の悪性高熱症素因者の遺伝子変異はこの変異が存在するエクソン47に多く存在しており,入種間で変異が発生している箇所が違っている可能性が高い.引き続いて他の遺伝子変異に関して実験を継続中である.
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