非浸潤性膀胱癌に対するBCG療法は有効な治療法であるが、BCG生菌感染に由来する副作用の存在が依然残存している。申請者はBCGを物理的に破壊し菌体成分とすることにより、効果は生菌と同等で副作用の少ない新たなBCGをつくることを目指してきた。本研究ではこのナノパーティクルBCGという新たな治療薬の有効性を広汎に実証することを目的とする。 これまでの検討からナノパーティクルBCGはBCG生菌とは異なるメカニズムで直接効果を示し、さらにBCG生菌が無効なKK47C2GnT細胞、浸潤性膀胱癌由来のBOY細胞、前立腺癌由来のPC-3細胞に対しても直接効果を示すことが明らかとなっている.一方、腎癌由来のACHN細胞に対してはナノパーティクルBCGは効果を示さなかった。 平成23年度は、ナノパーティクルBCGから精製した成分であるPIM(phosphatidylinositol mannoside)を用いて検討を行った。その結果、PIMはKK47C2GnT細胞、ACHN細胞に対して直接効果を示すことが明らかとなった。 ナノパーティクルBCGは、BCG生菌とは異なるメカニズムで作用することから、実際の臨床の場において生菌無効例(BCG-failure症例)や浸潤性膀胱癌、他臓器腫瘍に対する治療薬としての可能性が示唆され、さらにPIMはナノパーティクルBCG無効例に対する治療薬としての可能性が示唆された。
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