研究概要 |
われわれは剖検前立腺癌サンプルより抽出した組織を用いて、マイクロダイセクション法によりそれぞれ前立腺正常腺管細胞、癌細胞からRNAを抽出した。抽出したRNAを用いたリアルタイムPCR測定による解析結果よりmiR-17,miR-21,miR-106a,let-7cの4種のmiRNAに着目することとした。これらはこれまでの報告に見られる結果に矛盾しない結果であった。着目、したそれぞれのmiRNAの癌/正常前立腺組織での発現の差異に関して、同意を得られた患者の過去の前立腺針生検から得られた前立腺組織より抽出したRNAを用いてGleason pattern別に検討している。これまでのところ前立腺正常細胞とがん細胞の間ではmiRNAの発現変化が認められるが、各Gleason patternの間で明らかな発現差の認められるmiRNAは同定できていない。今後、さらに症例を積み重ねるとともに、別のmiRNAでGleason pattern間で発現差のあるものを検索予定である。 現在進行中の解析結果を基に、miRNA発現抑制・強制発現による癌細胞増殖抑制効果を前立腺癌培養細胞を用いて検討予定である。動物実験モデルを用いて予定している。 前立腺癌、特に内分泌不応となった症例の治療には現在化学療法が主に行われているが、満足いく治療効果は得られていないのが現状である。これまでの研究成果より、miRNAの制御が(内分泌不応)前立腺癌の新たな治療法として期待される。
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