研究概要 |
我々は細胞内で分解されにくい抗腫瘍性ペプチドに、細胞膜透過性ペプチドとマクロピノソームから放出させることを促進するペプチドを用いて、膀胱癌に導入する長期持続型p53カルボキシル基末端ペプチド導入法を開発し、その膀胱癌への導入効率、抗腫瘍効果について検討した。p53変異型膀胱癌由来細胞(J82、T24) に長期持続型p53カルボキシル基末端ペプチドを導入し、各群においてWST-1アッセイを用い細胞増殖抑制効果の比較を行い、アポトーシス誘導効果についてはHoechst染色,活性型カスペース免疫染色法により検討した。In vivoにおいては、SCIDマウスの腹腔内にJ82を移植し、長期持続型p53カルボキシル基末端ペプチドを腹腔内に投与して、生存期間をKaplan-Meijer法で検討した。いずれの膀胱癌細胞においてもペプチド濃度が1μM以上で癌細胞増殖抑制効果を有意に認めた。また,ペプチド投与1日目で癌細胞のアポトーシスを有意に増強させる効果があった。また、in vivoではペプチドを投与した群では、対象群と比べて有意に生存期間の延長を認めた。長期持続型p53カルボキシル基末端ペプチド導入法は、膀胱癌に対して簡便かつ安全で強力な革新的治療法であると言える。
|